片頭痛について|頭痛・認知症もりた脳神経クリニック|神戸市東灘区の脳神経外科

〒658-0053兵庫県神戸市東灘区住吉宮町3丁目8-3
078-856-0234
WEB予約
ヘッダー画像

片頭痛

片頭痛について|頭痛・認知症もりた脳神経クリニック|神戸市東灘区の脳神経外科

片頭痛とは

片頭痛は、繰り返し起こる強い頭痛を特徴とする病気です。頭の片側や両側に痛みを感じ、日常生活に支障をきたすことがあります。

主な症状

  • ズキンズキンする頭痛
  • 明るい光や大きな音が苦手になる
  • 吐き気や嘔吐
  • 体を動かすと痛みが悪化する

片頭痛の特徴

  • 頭痛の前に「前兆」と呼ばれる症状が現れることがある(例:目の前でキラキラした光が見える)
  • 頭痛は4〜72時間続くことが多い
  • 女性に多い傾向がある

片頭痛の原因

脳の神経や血管の変化が関係していると考えられています。ストレス、生活リズムの乱れ、天候の変化、特定の食べ物などが引き金になることがあります。

治療方法

  • 痛み止め薬(トリプタン系薬剤やNSAIDs)で発作時の痛みを和らげる
  • 予防薬で発作の回数や強さを減らす
  • 生活習慣の改善やストレス管理で症状を和らげる

最近では新しい治療薬も開発されており、より効果的な治療が期待できます。片頭痛でお悩みの方は、専門医にご相談ください。適切な診断と治療により、多くの場合、症状をコントロールすることができます。

以下は片頭痛について少し詳しい説明です

抗CGRP関連抗体薬(新薬)について

2021年、片頭痛を引き起こす原因の一つであるCGRPという物質に作用する新薬が発売されました。この新薬は片頭痛予防薬として利用でき、エムガルティ、アジョビ、アイモビーグの3種類があります。

次のような方がこの新しい治療を受けられる可能性があります

  • 月に4回以上片頭痛がある
  • 頭痛のせいで日常生活に支障がある
  • 従来の経口予防薬を使用してもあまり効果がなかった

多くの人が治療を始めて1ヶ月で良くなったと感じています。約6割の人で頭痛の回数が半分になり、約1割の人では頭痛がなくなりました。
この治療は月に1回、皮下注射をします。保険を使うと、1回の注射で約13,000円かかります。医療費を安くする制度(付加給付制度)もあるので、詳しくはお問い合わせください。

エムガルティ(新薬)の作用機序

エムガルティ(新薬)
の効果発言時期

エムガルティのデバイスと在宅自己注射について

エムガルティのデバイスには、オートインジェクターとシリンジの2種類があります。

エムガルディのデバイス

通院による注射、在宅自己注射のいずれかを選択できます。

エムガルディの治療

小児片頭痛の治療について

片頭痛は子供にも起こることがあります。小学生の100人に3〜4人、中学生の100人に5人、高校生の100人に16人くらいの割合で見られます。子供の場合、大人と少し違って、頭の両側が痛むことが多く、痛みの時間も短めです。
片頭痛が起きたら、まず暗くて静かな部屋で休みましょう。痛みが始まったらすぐに、医師から処方された痛み止めを飲みます。子供用の痛み止めは主に「アセトアミノフェン」や「イブプロフェン」というお薬があります。これらで効果が足りない場合は、「トリプタン」という別の種類のお薬を使うこともあります。「ドンペリドン」などの吐き気止めの併用も効果的です。

子供の片頭痛治療では、生活習慣を整えることが大切です。例えば、

  • 決まった時間に寝て、起きる
  • バランスの良い食事を規則正しくとる
  • スマートフォンやタブレットの使い過ぎに気をつける
  • ストレスをためないようにする

また、適度な運動やストレッチ、マッサージも効果があります。頭痛が頻繁に起こって日常生活に支障がある場合は、予防のためのお薬(漢方薬を含む)を使うこともあります。
2024年11月現在、抗CGRP関連抗体薬は小児への保険適応がありません。

トリプタンについて

トリプタンは片頭痛の痛みを和らげるための特別な薬です。普通の痛み止めとは違う部分(セロトニン受容体)に働きかけます。これにより、片頭痛の痛みを効果的に軽くすることができます。

トリプタンの主な特徴

  • 片頭痛の痛みを効果的に抑える
  • 吐き気や光・音に敏感になる症状も改善する
  • 発作が始まってから早めに服用するのが効果的
  • 通常、錠剤やスプレー、注射などの形で使用する

注意点

  • 副作用として、めまいや胸の締め付け感などが起こることがある
  • 心臓や血管に問題がある人は使用できないことがある
  • 使いすぎると逆に頭痛が悪化する可能性がある(薬物使用過多による頭痛)

日本で使用可能なトリプタンは5種類あり、吸収速度、半減期、代謝経路などが異なります。
一種類のトリプタンが無効でも種類の変更や投与経路の変更で9割の方に効果が得られます。

片頭痛の予防薬について

片頭痛の予防薬は、頭痛の頻度や強さを軽減するために使用されます。これらの薬は毎日服用し、効果が現れるまでに数週間から数ヶ月程度かかる場合があります。
予防薬の使用は、月に4回以上頭痛が発生する場合や、頭痛が日常生活に著しい影響を及ぼしている場合に検討されます。副作用の可能性もあるため、医師と相談しながら最適な薬を選択します。

主な予防薬の種類

※横にスクロールできます。

薬の
種類
薬剤名(商品名) 効果 注意点
カルシウム拮抗薬 塩酸ロメリジン(ミグシス) 血管を広げて頭痛を予防 副作用が少なく使いやすい。妊娠中は使用不可
β遮断薬 プロプラノロール(インデラル) 血管の収縮を抑え、頭痛を軽減 喘息患者や抑うつ傾向の方には不適。リザトリプタンとの併用禁止
抗てんかん薬 バルプロ酸(デパケン、セレニカ) 神経の過剰興奮を抑制 有効性が高いが、妊婦には使用不可
抗うつ薬 アミトリプチリン(トリプタノール) 痛みの感覚を調整 不眠や抑うつ傾向がある方、緊張型頭痛を併発している方に適しているが、口渇や眠気の副作用あり

他に一部の降圧薬や漢方薬なども頭痛予防に有効な場合があります。

片頭痛の予防

ライフスタイルと片頭痛予防

生活習慣の改善は片頭痛の予防に効果的です。以下のポイントに注意しましょう。

  • バランスの取れた食事と適切な水分摂取を心がける
  • 鉄分(11-16g /日)、マグネシウム、リボフラビン(ビタミンB2)を積極的に摂取する
  • 十分な睡眠をとり、規則正しい生活リズムを維持する
  • 適度な運動を行う
  • リラクゼーション技法を実践し、ストレスを軽減する
  • 頭痛体操を取り入れる

これらの生活習慣の改善を継続的に行うことで、片頭痛の頻度や強度を軽減できる可能性があります。個人に合った方法を見つけ、無理のない範囲で実践することが大切です。

▶参考

Association Between Dietary Iron Intake and Serum Ferritin and Severe Headache or Migraine Front Nutr. 2021 Jul 6;8:685564. doi: 10.3389/fnut.2021.685564
・厚生労働省 食事摂取基準2020