
脳神経外科
脳神経外科
病院の脳神経外科では手術が治療の中心ですが、外来のみの診療所(クリニック)では病気の早期診断や発症予防、再発予防に重点が置かれます。脳神経外科の病気は発症すると後遺症が残る事も多く、早めに適切な対処を受ける事が重要です。当院の脳神経外科では次の様な症状の相談を受けています。
市販薬が効きづらくなった、頭痛の回数が増えた、いつもと違う頭痛がする。(詳しくはこちら「頭痛外来」)
頭を強くぶつけた、腫れや痛みがある、出血している、目の周りが腫れている、子供が頭をぶつけた(詳しくはこちら「頭部外傷」)
頭がくらくらする、立ち上がると立ちくらみがする、周りが回転している
うまく歩けない、歩き方がおかしい、よく転倒する
手や足・顔がしびれる、感覚がない、正座した後の様なしびれ感が続く、ケガをしていないのにビリビリと痛む。顔面に違和感がある
手に力が入りにくく物を落とす、歩行がふらつく、表情に左右差がある、口が閉じれず食べ物がこぼれる
顔がぴくぴくと動く、手足が震える
しゃべりづらい、呂律が回りにくい、うまく言葉がでない
飲み込みづらい、つばを飲み込むと鼻の方に上がる
一時的に意識を失った、失禁した、記憶がない
もの忘れが増えた、同じものを何度も買ってくる、段取りが悪くなった、家電が使えなくなった、怒りっぽくなった、周りが気にしているが本人は気にしていない、入浴を嫌がる、何もしたがらない、ぼーっとしている、昼夜逆転している
夜中に叫ぶ、手足が勝手に動く
脳血管が詰まる脳梗塞、血管が破れる脳出血、くも膜下出血があります。脳梗塞ではカテーテルを用いた血栓回収療法、血栓溶解療法などを行い、再発予防薬を導入します。脳出血では必要に応じて開頭血腫除去術を行い、出血の原因となり得る病変(血管奇形、硬膜動静脈瘻など)の治療を行い再出血予防を行います。くも膜下出血では脳動脈瘤が原因のことが多く、開頭クリッピング術やカテーテルを用いたコイル塞栓術などで治療します。いずれも後遺症が残ることが多く、発症させないことが重要です。
頭部を強打した後の症状(頭痛、めまい、嘔吐など)に注意が必要。特に意識レベルの変化や神経症状がある場合は緊急性が高い。
急性硬膜下血腫:頭部外傷による表面の血管破綻などにより、急性に脳と硬膜の間に血液が貯留する疾患。脳を圧迫し致死的となり得る。頭痛や麻痺、意識障害などの症状がある。開頭血腫除去術で治療するが後遺症が残る場合が多い。
慢性硬膜下血腫:外傷後1-2ヶ月程度の経過で脳と硬膜の間に血液が貯留する疾患。高齢者に多く、頭痛や麻痺、意識障害などの症状がある。穿頭血腫除去術で治療可能。
良性と悪性があり、症状は多様(頭痛、吐き気、てんかん発作など)。治療法は腫瘍の種類によって異なり、手術、放射線療法、薬物療法などがある。
髄膜腫:脳を保護している膜である硬膜から発生した腫瘍。良性の事が多く、緩徐に増大する。脳を圧迫するサイズとなる場合は摘出術を行う。手術難易度は部位により様々である。近年では術前栄養血管塞栓術による出血軽減も行われる。
下垂体腺腫:ホルモン産生臓器である下垂体に発生する腫瘍。良性の事が多く、緩徐に増大する。視神経を圧迫すると両耳側半盲(外側の視野が見えづらくなる)が生じる。内視鏡を用いた経鼻手術(経蝶骨洞手術)が主流である
膠芽腫:脳にしみこむように広がる悪性腫瘍。安全に摘出できる限界を決めて摘出を行い、術後放射線化学療法などの集学的治療を行うが、予後不良である。
脳が原因で全身に力が入る「ひきつけ」を起こしたり意識がなくなったりします。繰り返す場合は、てんかんの診断と治療を受けることが重要です。ひきつけ以外にも、口をもぐもぐする、視覚や聴覚の異常(輝く点や光が見える、耳が聞こえにくい)、自律神経の異常(頭痛や吐き気、腹痛、動悸)などさまざまな症状があります。抗てんかん薬という薬剤を投与するほか、難治性の場合は手術が検討されます。
正常圧水頭症は、脳や脊髄を守る液体である脳脊髄液の流れがうまくいかなくなる病気です。主に高齢者に多く見られます。この病気では、歩くのが難しくなったり、記憶が悪くなったり、トイレに行く回数が増えたりすることがあります。治療方法としては、シャント手術という特殊な手術を行うことで、症状の改善が期待できます。
片側顔面痙攣は、顔の筋肉がぴくぴくと動く病気です。目の筋肉(眼輪筋)や口周りの筋肉(口輪筋)が痙攣します。初期には時折発作が生じる程度ですが、進行するとけいれん持続のため開眼が困難になることもあります。MRIで顔面神経の圧迫を認める場合、開頭手術で圧迫を取り除きます。手術以外の治療としてはボトックス注射があります。
血管と神経の接触などが原因で三叉神経領域(耳より前方の顔)に痛みが走ります。薬物治療や微小血管減圧術などで加療します。
頸椎症・腰椎症は、加齢により脊椎椎間板や椎間関節に変性を生じた状態で、程度の差はあれ高齢者の大多数に生じます。ただ、狭窄が高度となり神経根や脊髄を圧迫した場合は手足のしびれ、筋力低下、歩行障害、排尿障害などを生じます。頸椎症では首の痛みを伴い、特定の姿勢(後屈など)でしびれなどの症状が増悪する場合があります。転倒や不自然な姿勢での就寝で脊髄損傷を来す恐れがあり注意が必要です。腰椎症では間歇性跛行が生じる場合があります。これは歩行により足のしびれや脱力が生じるため、歩行を続けるために短期間の休息(特に前屈位)をとる必要が生じることを指します。診断された場合は投薬や安静による加療を行いますが、疼痛が強い場合、筋力低下や排尿障害が生じる場合などには手術により神経組織の圧迫を解除することが考慮されます。
診断が付くまでの間は病名がつかない「症状」です。どの診療科を受診するのがよいかわからない事もありますし、実際に似た症状でも原因は複数の診療科疾患を鑑別していく必要があります。脳神経外科では脳神経内科、精神科、耳鼻咽喉科、内科、整形外科の疾患の可能性も考慮して診療にあたります。脳神経外科で良いか分からないと悩んでいる方も遠慮無くご相談ください。以下に例を示します。
めまいの原因は三半規管、前庭、小脳などの疾患の他、起立性低血圧や薬剤性など多岐にわたります。問診、神経学的所見、頭部画像評価を行い鑑別を行います。
脳梗塞:協調運動がうまくできなくなる失調の他、瞳孔の異常(Hornel徴候)や温痛覚の異常、構音障害が出現する場合があります。
BPPV:頭位変換で誘発され、1分程度で治まるという特徴を持ちます。
前庭神経炎:回転性めまいで発症後、体動時のふらつき感が持続します。
前庭性片頭痛:片頭痛と関連しためまい症状で光過敏、音過敏などの症状を伴い、反復します。
起立性低血圧:脱水、自律神経障害、薬剤性、食後などの原因による低血圧がめまいの原因となります。
その他にも薬剤性、うつ、神経症、低血糖、脳腫瘍、脳循環不全、メニエール病、貧血、迷走神経反射などの可能性があります。