小児の頭痛
小児の頭痛
「子どもだから大丈夫」「成長すれば治る」と思っていませんか? 実は、子どもの頭痛の中には、早めに診断・治療を受けることで大きく改善するものが少なくありません。頭痛のせいで学校に行けない・勉強に集中できないといったお悩みがあれば、一度頭痛外来にご相談ください。
子どもの頭痛は決してまれではありません。小学生の約4~5%、中学生では約10~15%が片頭痛を経験するとされています。しかし、子どもは痛みを正確に伝えるのが難しいため、「よくあること」「気のせい」と片付けられてしまうケースも少なくありません。
子どもの頭痛の原因はさまざまです。原因によって治療法が大きく異なるため、まずは正確な診断をつけることが何より大切です。
朝起きられない、立ちくらみがする、午前中は元気がない ― こうした症状から「起立性調節障害(OD)」と診断されるお子さんが増えています。ODは自律神経の調節がうまくいかないことで起こり、頭痛を伴うことが非常に多い疾患です。
ODと診断されたお子さんの中に、実は片頭痛が合併しているケースが少なくありません。また、まれではありますが脳脊髄液漏出症(低髄液圧症)のように専門的な精査が必要な病態が隠れていることもあります。ODの治療をしても頭痛が改善しない場合は、一度頭痛外来での再評価をおすすめします。
ODの中でも「POTS」と呼ばれるタイプでは、立ち上がったときに心拍数が過度に上昇します。当院では起立試験を行い、起立後の心拍数・血圧の変化を客観的に評価しています。正確な診断は、治療の効果判定にも直結します。
まれな病態ですが、頭や体を強くぶつけた後に「立ち上がると悪化し、横になると楽になる」頭痛が続く場合、脳脊髄液漏出症(低髄液圧症)の可能性があります。脊椎の膜から髄液が漏れ出すことで起こる病態で、耳鳴りを伴うこともあります。起立性調節障害と間違われやすいため、以下のような特徴がある場合は早めの受診をおすすめします。
当院で初期評価を行い、疑わしい場合は造影MRIや専門施設への紹介をいたします。
これらの症状がある場合は、昼間であれば当院に電話でご連絡ください。夜間・休日の場合は救急病院を受診してください。
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 片頭痛 | ズキズキする痛み、光・音・においに敏感、吐き気、動くと悪化。小児では持続時間が短い(2時間~)ことも |
| 緊張型頭痛 | 頭全体が締め付けられる感じ。ストレスや姿勢の悪さと関連 |
| 起立性調節障害(OD/POTS) | 朝に強い頭痛、立ちくらみ、午前中の不調。自律神経の調節障害が原因 |
| 貧血 | 慢性的な頭痛、疲れやすさ、息切れ。成長期の女子に多い。採血で判明 |
| 甲状腺機能異常 | 頭痛・倦怠感・体重変化。採血で甲状腺ホルモンを測定 |
| 副鼻腔炎 | おでこや頬の痛み、鼻づまり、黄色い鼻水。風邪の後に多い |
| 脳脊髄液漏出症(低髄液圧症) | 起き上がると悪化し横になると速やかに改善。外傷後に発症しうる。まれだが見逃し注意 |
| 薬剤の使用過多による頭痛 | 痛み止めを月10日以上使用していると、かえって頭痛が悪化することがある |
| 外傷後頭痛 | 頭部外傷後に続く頭痛。多くは1~3か月で改善するが、遷延する場合は精査が必要 |
上記以外にも、脳腫瘍や脳血管の異常など、まれですが重要な原因が隠れていることがあります。「いつもと違う」「なかなか治らない」と感じたときは、画像検査を含めた精査をおすすめします。
当院は頭痛専門医・脳神経外科専門医が診療を行う専門クリニックです。お子さんから大人の方まで、頭痛のご相談を幅広くお受けしています。
お子さんの頭痛の原因を探るために、以下の検査を院内で行っています。
| 検査 | 何がわかるか |
|---|---|
| 頭部CT | 脳出血・硬膜下血腫・脳腫瘍など、緊急性のある病気の除外。当日撮影可能 |
| 血液検査(採血) | 貧血・甲状腺機能異常・炎症など、頭痛の原因となる全身疾患の評価 |
| 心電図 | 不整脈や心臓の異常の確認。立ちくらみや失神を伴う場合に重要 |
| 起立試験 | 起立性調節障害(POTS)の客観的な診断。立ち上がり後の心拍数・血圧変化を測定 |
| 頸動脈エコー | 頸部血管の異常の評価(必要に応じて) |
MRIや脳波検査が必要な場合は近隣の連携病院で迅速に実施いたします。脳脊髄液漏出症が疑われる場合は専門病院への紹介も行います。
「市販薬でなんとなくしのいでいる」「何科に行けばいいのかわからない」というお子さんの頭痛こそ、ぜひ一度ご相談ください。原因を特定し、適切な治療を行うことで、学校生活や日常の質が大きく改善する可能性があります。