生活習慣病|頭痛・認知症もりた脳神経クリニック|神戸市東灘区の脳神経外科

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生活習慣病

生活習慣病|頭痛・認知症もりた脳神経クリニック|神戸市東灘区の脳神経外科

生活習慣病とは

生活習慣病とは

生活習慣病は、生活習慣が原因で発症する病気の総称です。運動不足や不適切な食生活、過度な飲酒、喫煙やストレスなど、習慣や環境が深く関与し、これらが積み重なることで発症します。

日本人の三大死因は、がん、心疾患、脳卒中(脳血管障害)ですが、これらの危険因子となる肥満症、動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などはいずれも生活習慣病とされています。生活習慣病の多くは自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、脳や心臓、血管などにダメージを与えていきます。その結果、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる重篤な症状を引き起こすことがあります。

当院は脳の専門クリニックではありますが、脳卒中の予防という観点から生活習慣病とは密接な関わりがあります。各種ガイドラインを参照し、適切な治療を提供しております。健康診断などで異常を指摘された方、ご相談ください。

高血圧症

120/80mmHgを越えて血圧が高くなると、脳卒中、心筋梗塞、慢性腎不全などの罹患リスク、死亡リスクが高くなることが分かっています。日本では約10万人が脳卒中や心筋梗塞で亡くなっており、その約半分が血圧が高いことに原因があるとされています。血圧をコントロールすることでこれらの疾患を予防することができます。

血圧を下げるための治療には生活習慣の修正を含む非薬物療法と薬物療法があります。最適な降圧目標は130/80-140/90mmHg(家庭血圧125/75- 135/85)程度であり、合併症や尿タンパクの有無などを元に決定されます。非薬物療法には以下の様なものがあります。

非薬物療法

減塩 食塩6g/日未満を目標にします。
食事

パターン
野菜・果物を積極的に摂取し、飽和脂肪酸・コレステロールの摂取を控えます。
適正体重の

維持
BMI 25未満を維持します。
運動 ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分、週150分以上行う。
節酒 アルコール量で20g (日本酒 1, ビール500ml, ワイン 180ml, 焼酎100mlくらい)を目安にします。
禁煙 禁煙外来をお勧めします。(当院でもニコチンパッチを用いた禁煙補助治療を行っています。)
その他 防寒や精神的ストレスの管理を行う。

当院では投薬治療の他、オンラインでの栄養指導を受けてもらうことが可能です。なかなか継続が難しい上記のような生活習慣の改善をサポートしますので、ご相談ください。

また、高血圧の90%は原因がはっきりしない本態性高血圧ですが、他の疾患や薬剤の副作用が原因で起こる二次性高血圧の場合もあります。若年発症、急激な発症、治療抵抗性の場合などでは専門的精査が必要な場合があります。原発性アルドステロン症、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群などが疑われる場合、専門医療機関へ紹介させていただいています。

糖尿病

糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの作用が不十分なために血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が正常範囲を超えて高くなる病気です。糖尿病は口渇、多飲、多尿などの症状で発見されることもありますが、多くは健診などで無症候性に見つかり、症状が乏しいことが多いです。

ただ、糖尿病治療が必要な理由は症状の緩和ではなく、糖尿病に関連して合併する様々な疾患の予防にあります。

糖尿病合併症として神経障害(足がつる、足先がしびれる)、網膜症(成人失明原因の第3位)、腎症(進行すると透析が必要)があります。他にも動脈硬化による血管障害(脳梗塞、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症)、骨粗鬆症、癌、認知症、脂肪肝、歯周病などは糖尿病患者に多いと報告されています。

糖尿病診療では採血や尿検査により状態を把握します。特に1~2ヶ月の血糖の状態を示すHbA1c (ヘモグロビンA1c)は重要です。年齢や状態によりコントロール目標は異なりますが、合併症を予防する観点からは7.0%以下を目指すことが多いです。腎障害の指標としては微量アルブミン尿の評価を行います。当院では糖尿病標準診療マニュアル等を参考に、適切な薬物療法を提案すると共に、以下の非薬物療法を推奨しています。

非薬物療法

  • 3食きちんと食べる、寝る前3時間は食べない、食事には20分以上の時間をかける
  • 海藻類・きのこ類、豆、根菜、ナッツ類など食物繊維を多く取る
  • 野菜は多い方がいいが、糖質の多いものには注意する
  • 果物は果糖により血糖が上昇するため一日あたりバナナ1本、リンゴ半分などを目安に少し制限する
  • 飲み物は通常の水やお茶にして、スポーツドリンクを避ける
  • 糖質制限食は過度に行うと逆効果なので行うなら栄養摂取比率で糖質50%を目安にする
  • こまめな運動週間を持つ(バス停1つ分歩く、エレベータを使わずに階段を上るなども有効)
  • スクワットなど手軽に出来る筋トレを行う
  • 禁煙、節酒、ストレスの解消、適切な睡眠(6-7時間)を取る

 

脂質異常症

脂質異常症は血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が高値になる病態を指します。脂質異常症は動脈硬化性疾患との関連があり、脳卒中、心筋梗塞などのリスクとなります。脂質異常症に対する薬物療法の適応は久山町スコアを用いて今後10年間における動脈硬化性疾患のリスクを評価して個々に判断します。治療には通常、スタチン系薬剤を用います。

投薬の有無にかかわらず、非薬物療法はすべての脂質異常症の方に推奨されます。

非薬物療法

・禁煙、節酒、体重管理を行いましょう。

・脂質異常症の方にお勧めできる食事療法は、全粒粉(茶色のパン)、全粒穀物(玄米)にする(精製された白い穀物からの変更)、 果物や野菜、ナッツや豆類を選ぶ(食物繊維を除去した野菜、果物のジュースを控える)、鶏肉や魚を選ぶ (赤みの肉や加工肉を避ける)、 適量のオリーブオイルを選ぶ(動物性脂肪や一般的なサラダオイルを取り過ぎない)などがあります。

・運動療法はウォーキングなど中程度の運動を週150分以上または水泳やジョギングなどの高強度の有酸素運動を週75分(1日1時間以内を週2)行うなどの方法があります。

また、二次性脂質異常症として、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群などが挙げられます。これらは原疾患の治療を要するため、採血や尿検査でのスクリーニングを行い、必要に応じて専門医療機関へ紹介させていただきます。

高尿酸血症

高尿酸血症とは血液中の尿酸が7.0mg/dlを超える病態をいいます。痛風や腎結石、尿路結石の原因になるほか、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病を複合的に合併することが多いといえます。

血液中の尿酸が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節にたまり炎症が起きてきます。これを痛風といい、足の親指の付け根などに生じやすく、痛風発作はあまりの痛みで足を引きずってしまうこともあります。

痛風発作は消炎鎮痛剤などの治療で、1週間~10日ほどで落ち着きますが、治療を中断してそのまま放置すると、関節炎による結節(コブのようなもの)ができたり、腎機能障害や尿路結石のリスクを高めたりします。尿酸の結晶は、血清尿酸値が6.8mg/dl以上で形成されるといわれていますので、6.0mg/dl以下に保つことが治療目標となります。まずは原因となる生活習慣がないかを確認し、運動習慣や食生活を改善していくことが大切です。

慢性腎臓病

腎臓は体の不要物を尿として体の外に出す役割があります。加齢、高血圧や糖尿病などにより腎機能が低下すると、浮腫(むくみ)、貧血、高カリウム血症が生じて体調を崩したり、薬の投与量にも注意が必要になってきます。進行しすると尿量が減り、透析治療(血液から機械で不要物を排泄する治療)が必要となります。脳卒中(脳血管障害)、心筋梗塞の発症とも密接な関わりがあり、当院では積極的に慢性腎臓病の管理を行っています。

eGFRとは

  • 腎臓の機能を評価する指標で、血液検査で測定出来ます。
  • 数値が低いほど、腎臓の働きが低下していることを示します
  • 60より下回った場合は、慢性腎臓病としての治療を検討します。
  • 30~45 mlが持続する場合は透析を見据えた治療を考える必要があり、腎臓専門医の受診が必要です。

蛋白尿、微量アルブミン尿とは

蛋白尿は慢性腎臓病の進行と関連があり、最近では蛋白尿を減らすための治療が重要視されています。特に糖尿病による腎障害は「微量アルブミン尿」で評価されます。以下の薬物治療を行うことで蛋白尿を減らす可能性があります。

  • RAS阻害薬:輸出細動脈を拡張し、血液から尿を作り出している「糸球体」への負担を軽減することで蛋白尿を減らします。
  • SGLT-2阻害薬:尿に出た糖分を血液中に戻すSGLT-2の働きを弱めることで、輸入細動脈の機能を改善し、「糸球体」にかかる負担を軽減、蛋白尿を減らします
  • 鉱質コルチコイド受容体拮抗薬:アルドステロンの働きを弱めることで、「糸球体」への負担を軽減し蛋白尿を減らします。

高度の蛋白尿や血尿を合併する場合はネフローゼ症候群やIgA腎症などの可能性もあり、腎臓専門医の受診が必要です。

腎臓を保護するための治療

  • 血圧のコントロール 140/90mmHg未満  (75歳以上の方は150/90mmHg、糖尿病がある方は130/80mmHgなど、目標値は個々で異なります)
  • 糖尿病のコントロール HbA1c<7.0% (腎保護効果を期待しSGLT阻害薬を優先的に使用します)
  • 蛋白尿に対する治療 SGLT-2阻害薬、RAS阻害薬などを使用します。
  • 食事療法:25~35kcal/kg標準体重/日、タンパク質の過剰摂取をしない、塩分6g未満。
  • 糖尿病や肥満がなく筋肉量が低下した高齢者では、35~40kcal/kg標準体重/日などカロリーを多めに推奨する場合があります。
  • eGFRが45以下の方はカリウム制限(野菜はゆでる)
  • 脱水にならない程度の飲水(たくさん飲んだからと行って腎保護効果があるわけではないようです。)
  • 野菜や果物 (アルカリ性食品)の摂取
  • 身体機能に合わせた運動療法

参考:慢性腎不全のガイドライン2023, CKD診療ガイド

心筋梗塞

心臓のまわりには心臓の筋肉に酸素や栄養を供給する「冠動脈」が王冠のようにめぐっています。その冠動脈が血栓によって突然つまり、心臓の筋肉の障害が起こり、心臓の動きが悪くなってしまうのが心筋梗塞です。

突然、激しい胸の痛みが起こり、脈の乱れ、呼吸困難、吐き気、冷や汗や顔面蒼白を伴うことがあります。痛みは胸だけでなく、胃のあたりや腕・肩などにも生じることがあり、これを放散痛といいます。発作は長く続き数時間に及ぶこともあります。このような場合は、至急救急車を呼んでください。

心筋梗塞の原因の大部分は動脈硬化です。肥満症や高血圧症、脂質異常症、糖尿病など、動脈硬化を引き起こす生活習慣病が原因疾患として挙げられます。また喫煙や内臓脂肪も危険因子として考えられています。

心筋梗塞を予防するには、動脈硬化を起こさないことです。動脈硬化のほとんどは生活習慣に起因するため、まず、その改善を図ることが大切です。バランスのよい食事を心がけ、塩分・糖分・脂肪分を摂り過ぎないようにしましょう。肉やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸よりも、不飽和脂肪酸の多い魚やえごま油などを摂るとよいでしょう。運動はウォーキングなどスムーズな呼吸をしながら行う有酸素運動がお勧めです。

タバコは百害あって一利なしです。禁煙しましょう。また近年、発症の引き金としてストレスやうつなどが影響していることもわかってきました。規則正しい生活を送り、ストレスをためないようにすることも大切です。